乙女ゲーム前日譚の脇役ですが、王子様の笑顔を守るためにがんばります。

目次

  おまけ ミケーレ先輩とサラちゃん  

サラ「先輩、四年生になって、だいぶ落ち着きましたよね」
ミケーレ「まぁな。今、生徒会長だしな」
サラ「先輩のドヤ顔、ちょっとむかつきます」
ミケーレ「何だよ? 別にいいじゃないか」
サラ「……もしかしてリカルドも昔、生徒会長だったのですか?」
ミケーレ「いや、リカルド先輩は副会長だった。ソフィアが会長だったんだ」
サラ「なるほどです。ミケーレ先輩は分かりやすいですよね」

ミケーレ「一年生に、北の方の外国からやってきた、銀髪の美形男子留学生がいるだろ?」
サラ「はい。知っています。彼はクラスメイトですし、ゲームの攻略対象キャラでもあります」
ミケーレ「そのゲームがどうのこうのは分からんが、――あいつ、俺をにらんでくる。俺をサラの恋人とかんちがいしている。正直、困っている」
サラ「放っておいてください。彼は、私が主人公だから私に好意的なだけです」
ミケーレ「いや、放っておけないし、気になる。一年生からつっかかれるのは結構、困る。まさか、にらみ返すわけにもいかないし」
サラ「私はちゃんと、『ミケーレ先輩の婚約者と仲がいい。だから先輩とも、よくしゃべる』と周囲に言っていますよ」
ミケーレ「勝手に誤解されて嫉妬されるのは困る。しかも相手は一年生で留学生、……はっ、俺は今、一年生のときの俺につっかかれて困っていたリカルド先輩の気持ちが分かった。すごく迷惑をかけていたんだな」

ミケーレ「とにかくサラにほれている男子生徒が多い。確かに、サラは目立つしな。君はいい子だと、俺とソフィアも思うよ」
サラ「ただの主人公補正ですよ。それに私、世界をアレするためにアレする、やみのアレを倒さないかぎり、恋愛どころではありませんから」
ミケーレ「アレアレ言うなよ」
サラ「世界アレの危機なのに、私に言い寄る男どもの気持ちが分からない。いくらアモーレの国だからって浮かれすぎ、口説きすぎ。みんな、もっと勉強しなさいよ。リカルドなんて毎日毎日、飽きもせず鍛錬しているのに」
ミケーレ「落ちつけ。あとリカルド先輩と比べるな。かわいそうだろ。みんなは知らないから、アレがアレしてアレするとアレになることを、……はっ、何を言っているのか、自分でも分からない!?」


+++エドアルド先輩も一緒!+++


ミケーレ「なぜエドアルドも生徒会に入ったんだ?」
エドアルド「そりゃ、君が生徒会長になるからさ。君が会長なら、俺は副会長。君の隣には、いつも俺。俺たちは相棒だろ?」
ミケーレ「そうか、納得した。俺とエドアルドは、常に一緒だ」
サラ「そうですよ! エドミケもミケエドも、前世で大人気でした」
ミケーレ「何を言っているのか分からんが、君が俺に対して失礼なことを言っていることだけは感じ取れる」
サラ「いえいえ、私はミケーレ先輩の大ファンです。どうかエドアルド先輩と、末長く幸せになってください」
ミケーレ「なってたまるか! 俺は卒業したら、すぐにソフィアと結婚するし」
サラ「卒業後、即結婚なんて、イタリア人は情熱的ですね」
エドアルド「そりゃ、さっさと結婚式を挙げないと初夜もできないしね」
ミケーレ「なっ、何を言うんだ!?」
サラ「最低ですね。ソフィアとリカルドに、ちくっておきます」
ミケーレ「ソフィアは分かるけど、なぜリカルド先輩にまで!?」
サラ「ミケーレ先輩、不潔ですー」
エドアルド「不潔ですー」
ミケーレ「ふたりでハモって言うな!」


+++ミケーレ先輩とサラちゃん『これ以上、しゃべるな』編+++


サラ「今からドラゴン戦ですが、――先輩、本当に死なないでくださいよ」
ミケーレ「俺が死ぬわけがないだろ。リカルド先輩もいるし、親衛隊隊長のロレンツォさんもいる。これで、死者が出るわけがない」
サラ「そうですよね。安心しました。でも私のストレス軽減のため、ミケーレ先輩は死亡フラグもたてないでください」
ミケーレ「死亡フラグって何だよ? それに俺は、この戦いが終わったらソフィアと結婚するし、こんなタイミングで死ぬわけが」
サラ「いやぁあああああ!!!」
ミケーレ「今度は何だよ。結婚式にも、式の後に行われるパーティーにも招待してあげているだろ」
サラ「だから、死亡フラグをたてないでと言ったじゃないですか?」
ミケーレ「死亡フラグ? 『俺、この戦いが終わったら結婚するんだ』と当たり前のことを言っ」
サラ「ミケーレ先輩はもう、しゃべらないでください。口も開かないでください!」
ミケーレ「ひどい」


+++レオナルド王太子殿下とアンドレア国王陛下+++


アンドレア「わが息子よ、お前の異母弟であるミケーレについて質問がある」
レオナルド「何ですか?」
アンドレア「あの子、さっさと荷造りして、うきうきした様子で城から出ていったけれど、……もしかして城での暮らしが嫌だった?」
レオナルド「城での生活が嫌だったというより、母親とまた一緒に暮らせることがうれしいのでしょう。彼は、母親思いのいい子ですよ」
アンドレア「王位継承権放棄の書類も、あっさりとサインして、にこにこ笑顔で王子という身分も捨てたけれど、……王子であることも嫌だった?」
レオナルド「さぁ、知りませんよ。ただ、ミケーレは愛する女性と婚約するために、継承権を放棄しました。ですから、浮かれた顔をしても仕方がないのではありませんか?」
アンドレア「ま、ま、まさか、……ミケーレは父親である私のことを嫌っている?」
レオナルド「そもそもあなたは父親らしいことを、ひとつもしていないでしょう。いったい何人、子どもがいるのです? いい加減、新しい恋人だの妾だのを作るのはやめてください。私はこれ以上、異母妹や異母弟はほしくありません」
アンドレア「うわ〜ん。ちゃんとみんな愛しているのにぃ」

アンドレア「わが息子よ、お前の異母弟であるミケーレについて相談がある」
レオナルド「何ですか? 私はいそがしいので、手短にお願いします」
アンドレア「ここに、強い魔力のこもったサンゴの宝玉がある。これを明日、ミケーレにプレゼントする。さすれば、ミケーレからの好感度が爆上がりするであろう。私は、父親の威厳を取り戻すにちがいない」
レオナルド「下ごころの詰まった、不純な贈りものですね。心底、ほしくありません。ところで、なぜ明日なのですか?」
アンドレア「明日は、ミケーレの誕生日だ。私は妻、愛人、恋人、すべての女性たちの誕生日を記憶している。たとえ子どもが百人いても、彼らの誕生日を覚えることができる。私の記憶力は、この国で一番だ」
レオナルド「そうですか。ミケーレは魔法学校の生徒なので、サンゴというパワーアップアイテムは喜ぶかもしれません。父上に感謝するかもしれません」
アンドレア「そうだろう、そうだろう」
レオナルド「しかし先月、お忍びでミケーレに会いに行きましたが、彼はとても幸せそうでした。婚約者との関係も良好で、婚約者のご両親からもかわいがられているそうです。『初めて、お父さんと呼べる人ができました』と喜んでいましたよ」
アンドレア「うわ〜ん。すぐさまサンゴを贈って、パパとしてアピールしないと、ミケーレから忘れ去られてしまう」
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